子どもって長時間じっと座っていることはできません。けれども、その中に発達障害の一つである“注意欠陥・多動性障害(ADHD)”の子が存在します。
この子たちは、いったいどのような大人に育っていくのでしょうか。
また、それだけでなく先日、米国医師会により、「ADHDは子どもに影響する障害、というだけでなく、大人になってから初めてADHDを発症する可能性もある」という研究結果が発表されました。
そこで、今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が“子どもと大人のADHDの特徴”についてお話します。
■文科省の調査では「15人に1人」が発達障害の可能性あり…?
文部科学省の調査では、公立の小・中学校の通常学級に発達障害の可能性のある子が、6.5%(約15人に1人)いると推定されています。
上記のうち、症状の内訳としてはADHD16.2%、自閉症15.7%、学習障害(LD)14.6%などが挙げられます。
■落ち着きなくじっとしていられない「子どものADHD」8つの特徴
ADHDの子どもたちには、次のような状態が見られます。
(1)すぐに気が散る。
(2)落ち着かず、ひと時もじっとしていられない。
(3)席を離れなくても身体を常に揺する。
(4)手足をモジモジする。
(5)隣の子にすぐにちょっかいを出す。
(6)周りの物にすぐに触れたがる。
(7)大声を出すなど騒々しい。
(8)順番が待てない。
これらの状態だけみると、幼児はみんなADHD見えますが、見分けるため次のように定義されています。
<5歳児であるのに2歳児のように走り回るなど、実年齢と比較して極端に激しく強い。
その症状が6ヶ月以上続いている。学校や家庭など一場面に限定されたものではなく、どこでもその状態である。それが通常範囲を超えており、生活上で大きな支障を来たしている場合>
■台所に線香!? 無秩序に散らかす「大人のADHD」8つの特徴
大人なってからは社会性が身に付いてきますので、レストランでウロウロしたり、物を投げたり、順番を待てずに泣き叫ぶ人はいないです。
そんな顕著な状態は影を潜めますが、それでもその土台は次のような形で残っています。
(1)提出物をなくす。
(2)忘れ物がひどく多い。
(3)優先順位がつけられずあちこちに手を出す。
(4)約束や決まりごとを守れない。忘れる。
(5)時間管理が出来ない。ルーズである。
(6)注意するとすぐにカッとなって興奮する。
(7)刺激を求める傾向がある。
(8)片付け・整理整頓が出来ず物が散乱している。
この世に“片づけられない人はたくさんいます。でも、単にだらしがない人はキッチンに食器が山積みだったり、洗濯物が洗面所に散らばっている状態です。
これに対して、ADHDの人の散らかり方が違います。
台所に線香、流しにボールペンが転がっているなど「カテゴリーを無視し無秩序である」と言われています。
気が散りやすい特性のため、何かをしているときに、フッと別のことを思い出し、手に持っていたものをポイッとその辺に置いてしまいます。こうして“ごみ屋敷化”していきます。
■苦手分野を否定せず「得意分野」を伸ばしてあげよう
苦手を克服することはかなりハードルが高いです。自らの努力で何とかなるならばよいのですが、生まれつきの脳の機能障害である場合どうしようもありません、その特性は大人になっても老人になってもあります。
一番、まずい状態は幼い頃からその障害に気づかれず「お前には向上心がないんだ、気合や努力が足りないだ」と叱られ続けられたケースです。
幼い頃から否定されて育てられたことで、自己イメージの過小評価により情緒的な問題に発展し「自分はダメな人間だ」と刷り込まれ、対人関係を築く上でも“つまずき”を起こしてしまうこともあるのです。
苦手の克服よりも得意分野を伸ばしてあげましょう。
■ADHDは「セールスマン」でチカラを発揮するかも
同じ会社内でも様々な仕事があります。中でも、ADHDの人は緻密に計画したり、きっちりかっきり忘れずにいることが苦手なので、事務職には向いていないかもしれません。
その代り、ADHDの衝動性を“積極性”ととらえると、それはつまり“行動力”。その能力を発揮し、“セールスマン”としてチカラを発揮する可能性もあります。
デスクの片付けが苦手だったら、得意な人にお願いすれば済むこと。ギブアンドテイクで、できる人にお願いすればいいのです。
互いが支えあえたら良いですね。
いかがでしたか?
人は顔が違うように、個性もみんな違います。
自身だけでなく周りの人もそれを理解し、特性を活かす生活や仕事ができる社会になると良いですね。
It Mama 2016年05月26日