仕事で失敗が続き、悩んだ末に医療機関に行ったところ「ADHD」と診断された場合、その後、仕事はどうすればよいのかについて、以下で解説します。
まずは、ADHDで起こりがちな仕事上の問題について、主なものを以下で紹介します。
ADHDと診断された場合、治療を続けながら、自分で行える工夫や努力をし、職場の周りの人からも協力してもらえば、仕事での失敗も少しずつ減っていくでしょう。すぐには解決しなくても努力を続けることが重要です。仕事での失敗が少なくなると周囲の見方も変化し、うまくいった経験も増えると次第に精神的にも安定します。
そのためには、まず、自分がADHD であることを認め、1日を通して自分が職場でできなかったこと、できたことをリストアップ。できなかったことは、どうすればできるようになるかを具体的に考え、実践しましょう。
たとえば、メモやメール機能などを活用して忘れ物防止、頼まれごとをしたら安請け合いはせず、周囲に相談してから受けることも重要です。また、うっかりミスがないか周囲に二重チェックを頼む、スケジュールを人目につくところに貼って期日がきたらひと声かけてもらうなど、周囲の協力も含めて対策を検討しましょう。
職場に診断名を報告した場合、ケースによっては、「なまけている言い訳?」「面倒な支援が必要なの?」「本当に病気?」など、理解してもらえないこともあるでしょう。
職場に報告するかどうかは、焦って決めないことも大切です。タイミングを見計らい、まずは自分を理解してくれる人に相談することをおすすめします。職場に産業医や保健師などの産業保健スタッフがいる場合は、職場への報告をどうしたらいいかも含めて相談するとよいでしょう。
最近の研究では、成人の10人に1人がADHDの診断基準に当てはまる、といった報告もあるなど、ADHDは徐々に身近になりつつあります。ADHDと診断されたことで、「自分だけが職場に迷惑をかけている、辞めなくてはならない」と考える必要はないでしょう。しかし、どうしても自分がつらければ、転職を考えるのもひとつの方法です。ADHDの人の中には、興味があることには驚異的な集中力で才能を発揮したり、常識にとらわれない発想力や企画力で活躍したりする人もいます。自分に向いている仕事を探してみるのもいいでしょう。
ただし、仕事を辞める、あるいは転職するなどの変化は、場合によっては新たなストレスを増やし、失業につながることもあります。二次的な問題が起こる可能性もあるので、決めてしまう前に主治医とよく相談してください。主治医とも相談したうえで、一般就労ではなく支援を受けながら働く福祉的な就労を考えているのなら、ハローワークの「障害者のための相談窓口」で相談する方法もあります。
少し様子を見てから働きたい場合は、期間を決めて治療に専念する、または、ハローワークで就労移行支援事業所や障害者就職・生活支援センターなどの施設を紹介してもらい、自分の状態に合った働き方について相談するとよいでしょう。
ヘルスケア大学 2016.6.24