「うちの子ADHD?」親がとるべき6つの対応法

 

 

ADHDなど発達障害の子が増えていると聞いて、「うちの子も?」と気になっている方がいるのではないでしょうか?『AERA with Kids 冬号』(朝日新聞出版)で、子どもの発達障害に長く取り組んでいる東京家政大学の宮島祐先生に、具体的な親の接し方などについて聞きました。

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 昨今よく耳にするようになった「発達障害」。ADHD(注意欠如[欠陥]・多動症)もそのひとつです。そのほか、学習障害(LD)、自閉スペクトラム症(ASD)などがあります。ただし、これらの分類は医学界の診断名も、分類の仕方も、言葉の使い方も含めて混沌(こんとん)としていて、専門医でないとうまく整理できないのが現状です。

 宮島先生も、「病名として分類はされていますが、ADHDの特性に、こだわりが強い、コミュニケーションが苦手といったASDの特性が併存しているなど、いろいろな症状が混在していて病名できれいに分けることはできないのが実際です。今はインターネットなどですぐに病名を調べることができますが、チェックした結果をうのみにするのはやめましょう」と注意を促します。

 とくに就学前後の子どもたちは、幼児期特有の落ち着きのなさ、目の前のことに夢中になってやることを忘れてしまう、多少のかんしゃくといったことが多くの子に見られます。そのような診断がつきにくい子どもは、「グレーゾーン」ではなく、「パステルゾーン」の時期と考えるべきだ、と宮島先生。「『うちの子はきっとそう!』とネガティブに決めつけて、不安を募らせるのではなく、『いろいろな色が隠れている』とポジティブにとらえてみましょう」とアドバイスします。

 とはいえ、集団に溶け込めていないのに「うちの子は勉強もできるし、頭もいいからADHDじゃない」と決めつけてしまうのもまた問題です。それを防ぐには、子どもの行動の問題に「あれ?」と気づく感覚が大切です。

 もしも「指示に従うのが苦手」「忘れ物がやたらと多い」「気が散りやすい」など、「あれ?」と感じる行動や症状が見られたら、そう思ったところを一度整理して、書き出してみるのもいいでしょう。それは、専門医に相談するときの指標になります。

 たとえ、子どもがADHDの特性を持つ子であっても、大きな心配や子育てへの不安を感じることはありません。「そのような個性を持った子」と考え、子どもが自分の特徴に自信をもてるよう、接し方や対応を変えていけば大丈夫です。

 そのためにまず親が心しておきたいことは、ADHDの子どもたちによく見られる行動は、生まれもった性質によるものだということです。本人は決して意図的にやっているわけではなく、親御さんのしつけの問題でもありません。それを知らないと「困った行動を直さなければ」となり、「何度言ったらわかるの!」と厳しい注意を繰り返したり、ときに叩いてわからせようとしたりしてしまいがちです。

 

 

「いちばんの問題は、自分の特徴を否定され続けることで子ども自身が傷つき、自分への自尊心を失ってしまうことです。それを避けるためにも、やはり早期発見が大事。低学年までの間にADHDの可能性に気づいて早期に対応することで、子どもも明るく成長していきますし、親も楽しく子育てできるようになります」(宮島先生)

 では日々の生活では、親は子どもにどう対応していけばよいのでしょうか?

 宮島先生がアドバイスするのは、以下の6つの対応法です。

「わが子の行動特性に合わせて前もって約束を決め、守れたらほめるを積み重ねていけば、子どもの側もどう行動すればよいのかがわかります。発達障害をなおすという視点ではなく、社会の中で生きやすくしてやることをいちばんに考えていくことが最大のポイントです」(宮島先生)

(1)「こだわり」をよい方向に活用してパターン化させる
「一度覚えたら忘れない」という“こだわり特性”を生かし、やるべきことをパターン化

(2)前もって約束を決める、変更点を予告しておく
新しい場所、変化や突然の変更が苦手な子には前もって予告し、とる行動を約束しておく

(3)否定や命令の言葉でなく、肯定的な言葉で伝える
「走るな」ではなく「歩こうね」のように、指示や注意をする際は肯定的な言葉で伝える

(4)指をさす、手本やメモを見せるなど視覚化して伝える
してほしいこと、やらせたいことは、文字や絵、写真を使って「見えるかたち」で伝える

(5)行動・場所・時間など、手順はひとつずつ、わかりやすく伝える
複数の指示を一度に出されるのは苦手。指示は手順に沿ってひとつずつ区切って伝える

(6)叱るときは個別に、ほめるときはみんなの前で
友だちと一緒なら、叱るときは別の場所に連れ出して叱り、ほめるときはみんなの前で!

※『AERA with Kids 冬号』より抜粋

 

 

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