2017年

2月

02日

増える「大人の発達障がい」本人を追い込む“二次障がい”に注意!

 

 

ホウドウキョク 2/2(木)    

増える「大人の発達障がい」本人を追い込む“二次障がい”に注意!

 

 

 

大人の発達障害が増えている。そのワケは?

 

 

発達障がいの子どもは「クラスに2人以上」

発達障害のある子どもの医療機関の受診状況を総務省が調べた結果、半数以上の機関で初診までに3カ月以上、中には約10カ月以上待たされていることがわかりました。
これは発達障がいの子どもが増えているせいでしょうか?

2012年に文科省が行った全国の公立小中学校での調査では、“発達障がいの可能性がある”児童生徒の割合は6.5%でした。
これは15人に1人。つまり、クラスに2人程度になります。
ただ、これは通常学級が対象なので、特別支援学校等に通っている児童生徒を含めると、実際の数字は6.5%よりも高いと思われます。
とはいえ、発達障がい児者自体が増えたということではなく、1980年代後半から診断基準が普及したことで「発達障がいと診断される人が増えた」と解釈するのが一般的です。

 

 

 

発達障がいは男性に多い

発達障害は、発達障害がい者支援法により、
・自閉症スペクトラム
・学習障がい(LD)
・注意欠陥多動性障がい(AD/HD)
・・・の3種類に分類されています。

「自閉症スペクトラム」は比較的新しい診断名です。
発達障害がいの症状には多様性があり、連続体として重なり合っているという考え方に立って、2013年にアメリカの精神医学会が、自閉症やアスペルガー症候群などを統合した「自閉症スペクトラム」という診断名に統合したのです。

2012年の文科省の調査では、全ての発達障がいの男女比は、男2.4:女1でした。
米疾病管理センターのデータでは、自閉症スペクトラムの男女比は5:1となっています。
なぜ男性に多く発現するのかは、よくわかっていません。

 

 

原因は先天性の脳機能障がい

発達障害の原因は、主に先天性の脳機能障がいです(知能障がいを伴う場合もあります)。
親のしつけや育て方の問題ではありません。
後天性は一切無く、生後に発病する心の病気ではありません。
発達障がいのお子さんを抱える親御さんは、今もそうした偏見や間違った見方に苦しむことも多いのです。

では、なぜ脳に先天的な機能障害が生じるのでしょうか?

 

 

「遺伝」だけではなく、「環境」も関与

まだ完全には解明されていませんが、近年の研究によって“遺伝”と“環境”という二つの要素が複雑に関係していることがわかってきています。

アメリカで行われた研究で、以下のような結果が出ました。
自閉症スペクトラムの兄弟がいる場合、もう一人も自閉症スペクトラムである確率は、一卵性双生児の時は70%台、二卵性は30%台、通常の兄弟は20%以下だったというのです。

このことによって、遺伝が関係していることはわかりました。
ただし遺伝子が同一である一卵性双生児でも100%ではないため、遺伝子以外の要素…「環境」要因も絡んでいることも併せて明確になったのです。

 

 

「環境」とは、出産後ではなく、妊娠中の「環境」

妊娠中に母親が抗てんかん薬「バルプロ酸ナトリウム」を服用すると、赤ちゃんの自閉症スペクトラムのリスクがおよそ3倍に高くなることが分かっています。
また、母親が妊娠中に抗うつ薬を服用すると、高確率で赤ちゃんが自閉症スペクトラムで生まれるという調査結果もあります。

大人になってから判明する発達障がいが増えている!

近年、「その場の雰囲気が読めない」「コミュニケーションが苦手」「時間や期限が守れない」「約束や用事をよく忘れてしまう」「衝動的に行動してしまう」…といった症状から、大人になって初めて発達障がいが発覚するケースが増えています。
これらのことは、誰でも1度や2度はあることのように思えます。
しかし発達障がいの場合、「時々」ではなく「いつも」こうした問題が起き、日常生活に支障が出るのです。

 

 

なぜ大人になるまで診断されなかったのか?

発達障がいの症状が、大人になって初めて出るということはありません。
必ず3歳ころまでには症状は発現しているのです。
しかし、知的障がいを伴わない発達障がいの場合、「少し変わった人だ」と認識されながらも、普通に大人になっていくケースが多くあります。
むしろ、学校の勉強などはとても優秀で、受験でも成功することもあり、本人も周囲も発達障がいであると気づかないこともあります。

 

 

「大人の発達障がい」診断のきっかけは゛二次障害“

先ほどのようなことが職場で続くと、上司や周囲が激しく叱責することもあるでしょう。
あるいは何度注意されても、自分の行動を改善出来ないことで気を病んでしまい、「自分は何をやっても駄目なんだ」と、うつ病、不安障がいなどを発症することが少なくありません。
そうした、うつ病、不安障がいなどが「大人の発達障がい」の“二次障害”です。
“二次障がい”は、「大人の発達障がい」でトラブルを抱える本人を、更に追い込み、苦しめます。
実際には、二次障がいをきっかけに心療内科などを受診して、発達障がいと診断されるケースが多いのですが…。

 

 

「大人の発達障がい」と診断されたら

治療については、主に薬物療法と生活療法の二つがあります。
ADHDには治療薬があり、最近成人にも適応されました。
またうつ病など二次障がいへの治療としても、薬物療法はよく行われています。
発達障がいがある場合の精神障がいは、少量の薬物でも効果があることが多いのです。
生活療法では、障がいについて理解を深めることを目的とした心理教育や、コミュニケーションの向上を目的としたSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)などが行われます。

もし、社会生活の中で何らかの生きづらさを感じていたり、自分も周囲も困っているようであれば、専門機関に相談しても良いかもしれません。


◆渡邊千春先生 監修
平成24年9月 千春皮フ科クリニックを開院。
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本レーザー医学会専門医、日本アレルギー学会会員、日本臨床皮膚科外科学会会員

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