こちらでは高機能自閉症の特徴、治療法をまとめています。
■高機能自閉症とは
高機能自閉症というのは、知的障害を伴わない自閉症を指す言葉です。高機能という単語に惑わされがちですが、一般より能力が高いといった意味は含みません。自閉症でありながら知能指数(IQ)が70以上であれば、それは高機能自閉症と呼ばれるのです。
■高機能自閉症の特徴
上でも述べたように、高機能自閉症は知的な遅れが伴わない自閉症です。自閉症の方には、次のような特徴があります。
社会性の障害他者との関係性を構築するのを苦手としています。他人に無関心ケースばかりでなく、積極的にコミュニケーションを取るものの、変に馴れ馴れしいなどで問題が生じることも少なくありません。
コミュニケーション障害言語の発達に問題がある、または言語能力に問題はないものの、会話を上手く続けることができない、同じ会話を何度もする、などでコミュニケーションが上手くとれません。
行動の障害限られた動作を繰り返したり、特定の物事に異様なまでに固執する傾向があります。例として同じ洋服ばかりを好んで着る、手を無意味に動かす動作を何回も反復する、1つの分野だけに熱中し続ける、などがあります。
他人の心を推測できない高機能自閉症の場合、他人の立場を推測することを苦手としている場合が多いです。高機能自閉症の特徴を示す有名な例に「サリーとアンの課題」というテストがあります。以下に内容を簡潔にまとめたいと思います。
《サリーとアンのテスト》
1.サリーはボールとカゴを持っている
2.アンは箱を持っている
3.サリーはボールをカゴに入れて、何も持たずに部屋の外へ出る
4.アンはカゴのボールを箱の中へと移す
5.アンは箱を部屋に置いたまま、どこかへ出る
6.サリーが部屋に戻ってくる
この条件において、サリーはボールを取り出そうと、最初にどこを探すでしょうか?
正しい解答としては、「サリーは、アンがボールを箱に移したことを知らない」ので「カゴの中」になります。しかし、高機能自閉症の子どもは「箱の中」と答える確率が高いのです。
要するに、自分の知っている情報から事実を導き出すことはできるのに、サリーの立場で考えることはできない、ということになります。
これが、他人の心を推測できないとされる理由なのです。
■治療・対処法とは
現代医学では自閉症の原因が特定できておらず、完治させる方法はありません。そのため、自閉症への対処法としては、他者とコミュニケーションがとれないなどのハンディキャップをできるだけ目立たなくするといった方法が採られます。社会生活において必要な常識、TPOを少しずつ理解させるためのトレーニング、ハンディキャップ訓練が第一選択となっています。
また補助的な手段として、落ち着きに欠ける(多動性)、儀式的かつ不可解な行為、自傷行為などを緩和するために薬物療法が用いられることもあります。多動性に対してはリタリン、不可解な行為は強迫性障害の治療薬であるパキシルなどのSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)、自傷行為にはメジャートランキライザー(抗精神病薬)が処方されることがあり、一定の効果が認められています。