アスペルガー症候群の治療法

アスペルガー症候群についての対応方法をご説明します。

ここで気になることですが、そもそも「アスペルガー症候群に治療法はあるのか」、ということです。様々な精神疾患に治療法が確立されているように、アスペルガー症候群にも治療法がある、と考える方は少なくありません。

しかし、答えは残念ながら「NO」です。「発達障害」「心の病気」とされるアスペルガー症候群は、実は治療法が確立されていないのです。また、このままだとこれからも治療法が確立されることはないでしょう(例外として、心理療法があります。これについては、次のページでご紹介します)。

それは何故かというと、アスペルガー症候群は医療の場では「病気」だと認定されていないからです。むしろ、アスペルガー症候群は病気というよりは先天性の障害だと捉えられています。

しかし、治療方法が確立されていないから、アスペルガー症候群を克服できないわけではありません。アスペルガー症候群を持っていると気づけば、療育や成長によって照応を克服していくことは勿論可能です。しかし、この場合は完全な克服と言うよりは、成長して社会生活になじんでいくために本人に変化を促す、といった形となります。

また、アスペルガー症候群を抱える人には何か一点、特別に優れているものがあるので、それに注目してみることです。それによって考え方もどんどん変わっていきます。

 

 

アスペルガー症候群naviより

アスペルガー症候群の治療と療育

アスペルガー症候群は、完全に治療できるモノではありません。だからといって放っておいて良いモノでもありません。放っておくと、子供が"生きづらさ"を感じたままとなります。そのため、子供に様々な経験を積ませることで出来ることを増やしていき、学校や社会に出たとき集団の中で上手く生きていける技術を身に付けさせてあげる必要があります。それを「療育」と言います。

 

アスペルガー症候群の子供は、集団生活の中で自然に身に付けていくこと(礼儀・空気を読むなど)を理解する能力に乏しいという特徴があります。そのため、それらを理解できずに大人になると、社会生活で非常に生きづらくなります。しかし、療育を行うことによって、集団生活の中での適応能力が広がり"生きづらさ"を軽減させることができます。

 

アスペルガー症候群は知的能力が低い訳ではないため、療育による教えを理解することが出来ます。従いまして、無理なことを子供に押しつけるのではなく、理屈を説明することによって、その場面で取るべき行動などを教えてあげる教育方法となります。

 

アスペルガー症候群の特徴より

療育を行うには?

療育は専門の施設で受けることが出来ます。例えば、地域の療育センター・地域の福祉センター・子供専門病院・発達障害センター・療育専門の民間施設・個人で開業している発達専門クリニックなどです。あと、作業療法士などの専門家が、自宅訪問して療育を行うサービスなどもあります。ただ、地域によって違いがあるため、詳細は地域の保健センターなどに相談するようにして下さい。

療育の内容

アスペルガー症候群の子供たちは、それぞれ不得意とするモノや程度などに大きな差があります。そのため、作業療法士・臨床心理士・言語聴覚士などが関わり、その子供にあった対応方法を練り親にアドバイスすることになります。例えば、運動能力に不器用さが見られる場合、感覚統合療法と呼ばれる方法に基づいて指導することがあります。これは、脳からの指令が上手く伝わらないという考えに基づいており、その指令のバランスを良くするという方法です。

 

ちなみに、"自閉症スペクトラム"の子供たちを支援するプログラムで「TEACCH」と呼ばれる方法があります。例えば、言葉で伝えてもそれを理解することが苦手な子供には、TEACCHの考え方に基づいて視覚的なアプローチを用いて子供が理解しやすくなるように工夫します。そのような子供には、走っている絵に「×」を付け、歩いている絵に「○」を付けておき、走ってはいけない所で子供が走った場合、「×」マークの走っている絵を見せて、走ってはいけない場所であることを理解させます。これであれば、言語での理解が乏しい子供でも「×」マークの絵を見せたあと、「○」マークの歩いている絵を見せれば、何をしなければいけないのか理解しやすくなります。ただ、これは言葉での理解力が乏しい自閉症の子供に対する方法です。そのため、言葉をしっかり理解できるアスペルガー症候群の子供には必要ありません。

 

なお、アスペルガー症候群の子供に対する療育は様々なモノがあります。療育は、どれかひとつだけを取り入れ、それに専念しなければならないという訳ではなく、いくつかの方法を取り入れて構いません。

 

 

インリアルアプローチ

これは、会話や遊びを通じて子供と大人が相互に反応し、子供のコミュニケーション力を伸ばしていく方法です。この方法は、パラレルトーク(大人が子供の行動や気持ちを言語化する)やセルフトーク(大人の行動や気持ちを言語化する)などの言語心理学的技法を用います。その際、大人は子供の行動をよく観察し、静かに見守りながら子供の言葉に耳を傾け、子供を理解する必要があります。

 

 

感覚統合アプローチ

その場に合った適切な行動が出来るように、子供の成長過程で脳は作られていきます。しかし、その情報処理機能に偏りが歪みがある場合は、簡単な運動などを用いて、感覚入力を調整したり、運動機能・姿勢反応を正していきます。それが感覚統合アプローチです。

 

 

アスペルガー症候群の特徴より

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