ADHDの症状を緩和させたのは 20分間の運動だった

 

 

重度の「注意欠陥多動性障害(ADHD)」を発症している成人が、1日1回運動をするだけで、モチベーションの低下を緩和することができたとする研究結果が、米ジョージア大学のキャサリン・フリッツ氏らによって発表された。

 

ADHDは落ち着きのなさや衝動的な行動、注意障害などを特徴とする障害のひとつ。遺伝的な要素が原因とされているが、脳や神経の障害を指摘する研究もある。ADHD自体が何らかの疾患を引き起こすわけではないが、不安感の増大や抑うつ、行動力の低下など、心理的な問題につながることが多い。

 

フリッツ氏は、「運動は気分の高揚や前向きな姿勢になる手助けとなる」とした先行研究があることに注目。ADHDを発症している人でも同様の効果があるのかを確認するため、重度のADHDと診断されている18~32歳までの男性32人を対象に実験をおこなった。

 

まず、注意障害の重症度を判定するための「CPT(continuous performance task)」と 「BVT(Bakan vigilance task)」という、集中力を必要とするテストを実施。その後、20分間中強度でエアロバイクをこいでもらい、もう一度テストを受けてもらった。

数日後、再度テストを実施し、運動ではなく20分間の休息を挟み、テストをしている。各テスト後には、自己申告型アンケートでテストへのモチベーションを、脳派測定で気分や集中力の状態を調査した。

 

その結果、すべての参加者が、エアロバイクをこいだ場合のみ、テストに対する不安や疲労感、拒否感がなく、アンケートでも前向きな気分で取り組めたと回答していた。テストの結果については、運動をした場合と休息をした場合で特に変化はなかったという。

研究者らは、「さほど面白くない実験室内でのエアロバイク程度の運動でも、明白にADHDの症状が改善している」とコメント。今後、規模を拡大して運動の種類などを検討し、運動療法の確立を目指したいとしている。

 

発表は、米国スポーツ医学会誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」の2016年6月号(Volume48, Issue6)に掲載された。

 

 

 

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